ソーシャルスキルトレーニング シナリオ解説
10127 | 友だちがえんぴつを落としたよ |
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イントロダクション (3人称視点)
友達が鉛筆を落としたよ
君ならどうする。
Ⅰ 鉛筆を拾う (3人称視点)
Ⅱ 気がついてから拾う (3人称視点)
Ⅲ 拾わない (3人称視点)
「落し物に気がついたら、拾ってあげる。」というのはちょっとしたマナーですが、このようなマナーを日常生活の中で自然に獲得できない児童がいます。なんの悪気もないのですが、落とした児童にとっては、何か意地悪をされているように感じるかも知れません。このような児童には、マナー違反があれば、そのたびに、「落し物に気がついたら、拾ってあげるんだよ。」などと言語化して教えてあげてください。
また、目の前で落ちていても気が付かない、目に入らない児童もいます。その時には「気がつかなかったんだから、しようがない」ではなく、「気がつかなかったんだ、ごめん」と謝る等の対処方法を知ることも大切です。
導入:
① 「イントロダクション」を見せる。
② 「君ならどうする」かたずねる。
展開:
① 「パターンⅠ」と「パターンⅢ」を見せる。
「落し物に気が付いたら拾う。」ことはマナーであることを教える。
② 「パターンⅡ」を見せる。
③ 指導者が児童A、対象児童が児童Bで「パターンⅡ」をロールプレイする。
友だちから指摘された時、「気がつかないからしようがないでしょ」と対処をすればトラブルになるが、指摘されてからでも、拾ってあげれば相手は感謝することを体験させる。
発展:
① 対人マナーを列挙させる。
・ 知っている人に会ったら、あいさつをする。
・ 年長者にはていねいな言葉遣いを心がける。
・ 急いでいる人には道をゆずる。
・ 相手が話しているときは、しっかり聞く。
・ 友だちの嫌がることは言わない、しない。 など
対人マナーの根底には、相手に対する尊敬や思いやりがあることを説明してください。
② マナーも規則と同様に守らなければいけない規範であることを教える。
明文化された規則以外にも、守らなくてはいけない「良くわからない」ルールがたくさんあると認めることは、対象児童にとって、とても気持ちの悪いことかも知れない。本人が混乱しないように、十分な配慮が必要である。
規則もマナーも、集団の中で守るべき規範ですが、一般的に規則は明文化されており、一方、マナーはそうではありません。
PDDの傾向をもつ児童は明文化された規則には敏感ですが、マナーには鈍感です。
本人が混乱しない範囲で、マナーも守らなくていけない規範であることを教えてください。
・ 落し物に気がついたら拾ってあげるのがマナーであると理解できたか?
・ 落し物に気が付かないことを指摘された時の対処方法を学んだか?
・ 守らなくてはいけないのは明文化された規則だけではないことが理解できたか?